2018
牛革
長年、使い込んだ〝財布〟が傷んできたのと使い勝手の水準を上げるために新調しよう思い、ショップを探求したが条件に見合うものが見つからないことから「自分で使う財布」をテーマに改めて再考して具現化したものである。ブックカバーのようなスピン(栞)のついたフォルムが特徴的である。スピンの先端に設けたホックを止めると小さな手提げ鞄のような輪の形になる。このスピンの輪は様々な役目が想定されるが、私は置忘れ癖があるが故に肌身離さずという観点から常にここに手を通して使用したい。収納部となる小銭・札入れとカード入れは分節し可能な限りの収納を施した。素材は限りなく「素」に近い状態に仕上げた〝素上げ〟の革を動物の命に感謝して使用させていただいた。そこに本が収まっているかのような余白のある少し大きな財布は、内外で感じる肌触りと経年変化という〝触覚と視覚〟の両面を刺激して長きに渡って愛用していくことが可能であるかを身を持って体感したい。