2010
Kurashiki
自然の光や風を肌に感じる環境の中で、趣味の音楽や読書を外部からの視線に気にすることなくゆったり楽しみたいという願いから生まれたコートハウス。建物が中庭を囲むように配置され、高さ3.5mの塀で外部の視線を防ぐのと同時に一部をルーバーとして、光・風・視線をコントロールできるものとなっている。日中もテラス窓を開け放つと、内部と外部が緩やかに繋がり、光、緑、空、風などの自然の空気を感じられる開放的なワンルーム空間をつくり出している。「モノを見せずにスッキリと暮らしたい」というクライアントの願いに、流動性を重視した動線の中で、建物全体に家具の機能を持たせ、随所に収納を設けた。また、一部が店舗となっていてオンオフとプライベートの関係性も緩やかに切り替わる空間になるように配置した。建物と家具が一体となり、空調や照明、間仕切り建具も天井や壁に組み込み、住宅としての機能を満たすためだけでなく、見えないデザインとして空間に上質さとスケール感を与えるものとなっている。デザインと機能性を両立し、クライアントのイメージを具現化した空間なら、心からくつろいだ暮らしを楽しめるのではないかと思っている。